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【レビュー】人を助けるとはどういうことか 本当の協力関係をつくる7つの原則/エドガー・シャイン ◎支援の基盤にある考え方が整理できる

こちらは、国家資格キャリアコンサルタントで必ず学ぶ組織心理学という分野の創始者でもあるエドガー・H・ シャイン教授が、支援の考え方を整理している一冊です。

キャリコンやコーチングで学んだ基本の考え方が書かれています。

ただ、それだけではなく、文化的・社会的観点から紐解いており、支援を行う人間関係のダイナミクスを分析し、そうした関係における信頼の重要性ついて学ぶことができました。

良かれと思ったことが大きなお世話になるのはなんでだろう?と感じたことがある方は、納得することがあるかもしれません。

■ 本から得られること

支援というと、先生やコンサルタントやカウンセラー等と思うかもしれませんが、日常生活の至るところに支援を伴う関係は存在しています。

例えば、友達にパソコンの操作方法を聞かれたので教えてあげる、道を尋ねられた時に教えてあげることも支援です。

本書ではこれを「非公式の支援」と呼んでいます。

非公式の支援、準公式の支援、公式の支援があるのですが、誰かに何かを成し遂げさせようと、人が意識的に手を貸そうとすることが支援なのです。

キャリコンでたくさん勉強してきましたが、より深く支援について学びたいと思い手に取りました。

・支援の基本的な考え方を知りたい

・思ったような支援を受けることができない

・思ったような支援をすることができない

・人の役に立ちたい方

・先生やコンサルタントの方

・チームを任されている方

上記の方にはおすすめです。

■ 要約

1.ポイント1:人は役割を演じている

❝うまく機能し、社会秩序そのものが維持される社会にするためには、非公式な相互の支援が 当然のものと見なされている。

面目を保つというルールは、あらゆる形の人間関係に当てはまり、敬意と品行というルールは、日々の生活を通じて人が互いに助け合う方法を指導してくれる。

あまりにも攻撃的な行動や受動的な行動をとったり、恥ずべき行いをしたりする人がいれば、われわれはすぐさま否定したり謝罪したりしてそうした状況を修復するか、そこから距離を置く。

われわれがもっとよく理解すべきなのは、支援を明確に求めたり、提供したりする人によって、通常の流れが遮られたとき、何が起きるかである。

そんな場合は、支援のプロセスそのものに目を向けるべきだ。

それから、これまで述べてきたさまざまな関係においては異なるルールが当てはまることに気づくだろう。

そして、どんな支援関係にも共通する重要なダイ ナミクスがあるかどうかを問わなければならない。

支援に不可欠のものが信頼だとしたら、たとえば車の販売員のような人を信頼するとは、どういう意味なのだろうか。❞

(一部抜粋)

日々の生活の中で、支援で適切な対応がされなければ不均衡が生じてしまいます。

それほどまでに支援とは、日常的なプロセスであり、気を配らないといけない特別なプロセスなのだと書かれていました。

2.ポイント2:成功する支援関係とは?

❝支援を求める立場=ワンダウン(一段低い位置)。

支援を求められる立場=ワンアップ(一段高い位置)。

要するに、そもそもどんな支援関係も対等な状態にはない。

支援のプロセスで物事がうまくいかなくなる原因の大半は、当初から存在するこの不均衡を認めず、対処しないせいだ。

当初の力の不均衡(クライアントが支援者に依存するという暗黙の了解と、クライアントと支援者のそれぞれが当然相手に期待していることの曖昧さ)のせいで、両者に不安感と緊張感が生まれている。これには対処しなければならない。

(一部抜粋)

コーチングでは、とにかく「対等な立場」ということを徹底しています。

だけど、この本には「対等な状態にない」と書かれていました。

ただ、「不均衡を認めて対処しないから、支援がうまくいかなくなる」とも書かれておりました。

なので、最初は対等な状態にないという前提を理解した上で、どれだけそう感じさせないように、対等でいられるように関わり合うことが大事なんだ。という風に感じました。

3.ポイント3:すべての答えを得ることはできない。

❝私は支援者の役割を演じているから、自分の経験が解決に役立つと考えたい気持ちに駆られるのだ。

自分が博識者だと信じ込んでしまう罠に陥り、解決策を作り上げてしまう。それが期待 されていると感じるからである。

しかし、そうした態度はほぼすべての場合、役に立たない助力となるだけだ。

ときには、正しい選択肢が 「問題を分かち合う」ことだと私は学んだのである。

(一部抜粋)

ただ、ともにいる。改めてこの大切さ、ネガティブケイパビリティの必要性を感じました。

たくさんの方を支援してこられた方も、経験を積まれたからこそ見えてくる境地なのかもしれないです。

■ 今後に活かせること

  1. 無知の自覚からプロセスを開始する。(無知の知!)
  2. 前提を理解したうえで、対等な立場になるように関わる。
  3. フィードバックは現実の姿にとどめる。

■ 感じたこと

この本でも、双方向や個別性の大切さが書かれていました。(という風に私は理解しました。)

フィードバックや励ましについてのコツも書かれており、やっぱり大切なんだと納得感をもって読むことができました。

クライアントが陥りやすい罠や支援者が陥りやすい罠から、どういう対応をしたらいいかまで、経験をもとに具体的に記述されており、学びにつながりました。

■ 著書について

・【書籍名】人を助けるとはどういうことか―本当の「協力関係」

をつくる7つの原則

・【著者名】エドガー・H・シャイン氏

・【出版社】英治出版

・【出版日】2009年8月

 

最後までご覧くださり、ありがとうございました!